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演出:長崎希

猫(子ども)の日常の非日常をなるべく禁欲的に描いてみたかった。
シナリオもコンテもなく、メモだけでセットデザイン担当・人形担当との打合に入った。経済的条件の中に入る分だけ素材を作り、後は撮影しながら考えていく 方式だ。 技法的には 書き割り風半立体の小道具とオーソドックスなぬいぐるみの猫(立体人形)の対比を試してみた。
色々な美術様式の中に猫の人形を置いてみて遊んでみようというプロジェクトの第一弾である。シチュエーションの変化と共に猫の性格も変化し、それにあった 美術様式を選んでいけたらと思っている。

音響効果担当の石 垣さんには言葉もどきの音(子猫・母猫)と効果音だけで構成したいとお願いした。基本的に即物的な音・シンセ音からなるべく遠ざかったものを、と時間もな いのに無理をいった。
結局、効果音専門の方なのに、音楽まで創っていただいた。
ちなみに猫の声は御本人のものである。

コメント(演出補 篠原義浩)

作品を見た何人かの方から、「キャラクターとセットの質感がなぜ違うのか」という質問を受けました。主人公が体験する生まれて初めてのるすばんです。この 年頃の子どもにとっては、まだ、現実と空想の区別がついていません。部屋は現実の風景と主人公の心の中の風景が重なっています。もし、セットが主人公と同 じ質感の世界に変わっていくとすれば、主人公が現実の世界を認識することになるのではないか。セットをつくりながら感じた個人的な解釈です。
 この件に関してスタッフと突っ込んだ話をしたことは一度もありません。長崎さんとは普段からいろいろな話をしていますので、コンセプ トについては暗 黙の了解がありました。気心知れた少人数の自主制作です。少ない言葉でも通じる良さがあるのですが、今思うとマイナス面もあったのかもしれません。現実と 妄想の境界の表現に工夫が足りなかったのでは、と反省もあります。
 何れにしても、現場の雰囲気がとても良い仕事でした。スタッフが楽しんで作業を進められたからです。そういうみんなの気分が自然に フィルムへ反映され、延いては大藤賞受賞に繋がったのだと思います。

撮影風景

単純なセットだから逆に壁のレイアウトが自由にできる
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ワニは吊りで俯瞰撮影
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海の部屋は吊りアニメーション大会(三方 が壁なので照明が大変)
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